こんにちは、テラシマユウカです。
この作品で私の趣味が歪んでしまったと認めざるを得ない『ソウ』シリーズの待望の最新作がついに公開されました!
流石に1作目が1番好きなことは間違い無いのですが、ゲームだけで選ぶなら『ソウ3』の腕、脚、首が180°回っていく人間歯車と、『ソウ6』の自ら削ぎ落とした肉片の重さを競うゲームが好きです。
そんなやりたい放題のスプラッター映画ですが、なによりもシリーズ序盤から計算され尽くした伏線を張り巡らせ、シリーズを通して美しく回収していくという点が『ソウ』の圧倒的に好きなポイントでもあります。
初心者の方にはグロはひとつのみで、謎解きやサスペンス要素をメインとした一作目をおすすめします。
Vol.280『ソウX』
☆4.0/☆5.0
末期がんで余命宣告を受けたジョン・クレイマー(トビン・ベル)は、危険な実験的治療を試すためにメキシコへと向かう。しかし実際に現地に行ってみると、治療の話は詐欺だった。自分がだまされたことを知った彼は、自らをだました詐欺師や不正な治療に加担する医師たちに死のゲームを仕掛ける。
逃げ場のない究極の状況設定、恐ろしくも哲学的な“連続ゲーム殺人”、そして仰天のクライマックス…。今までのエンタテイメント映画の概念を覆す映画史に残るソリッド・シチュエーション・スリラーの最高峰、『ソウ』シリーズ。
そんな超人気シリーズの最新作であり、最高傑作となる『ソウX』が遂に日本上陸。今回は『ソウ』と『ソウ2』の間の物語。ジグソウの最も個人的な知られざるゲームが描かれる。
『ソウ』シリーズの生みの親であるジェームズ・ワンとリー・ワネルが製作総指揮を手掛け、ジグソウ役のトビン・ベルと、アマンダ役のショウニー・スミスが再び登場する。原点回帰からの謎の解明と展開。究極の【ソリッド・シチュエーション=状況設定】はさらなるサプライズを携え、想像を超える衝撃と恐怖の新たなゲームが始まる。
シリーズの時系列としては1と2の間になる今作ですが、余命僅かのジョン・クレイマーが末期がんでも治せる医療チームを紹介され高額の治療を受けるも、その手術が嘘で金を騙し取られたことがわかり、騙した連中を監禁しゲームを開催する。という明確な起承転結と丁寧な伏線回収の描写がされているため、シリーズの知識がなくとも楽しめるものとなっています。
命を尊重しない者は生きるに値しないというポリシーのジョンは、ターゲットに命を賭けた様々なゲームを仕掛けてきました。
そんな死のゲームの10作目にしてようやく、ジグソウであるジョン・クレイマーという人柄に焦点を当てた作品であり、全編通して彼の視点から物語が進行します。これまでのシリーズもジョン・クレイマーの人物像は少しずつ描かれてきましたが、本作の違いはジョンが死に直面し恐れ、生を必死に求める姿を我々観客が目にする点にあります。
1作目から貫いてきた殺人鬼像とは別の切り口から描かれた、人間らしさが強調されたストーリー構成でジョンの新たな魅力を引き出す非常に新鮮なものに仕上がっています。
相変わらず『ソウ』お馴染みの凝った残虐ゲームトラップが健在で、ポスタービジュアルや予告でも登場していた両目それぞれに繋がれたホースでの目玉吸引から最高のゲームの始まりを予感させます。
時系列が過去の話ということで懐かしい面々も登場し、また、椅子に縛り付けられたゲームの被験者の周りをカメラがグルグルと360°周るというシーンは第1作目をリスペクトした演出でシリーズファンを喜ばせます。
比較的ゆっくりなスタートをきる前半戦ですが、全体的にテンポの良い展開で後半の追い上げは気持ちがいい。ゲームの残虐性も進化し、脚を切り落として脊髄注入したり、麻酔なしで脳の一部を切り取ったり、不快さと馬鹿馬鹿しさ満載のゲームの刺激に『ソウ』シリーズでしか得られない快感を思い出すのです。
過去作とは異なるテイストですが、本来の良さは健在のまま、ジョン・クレイマーの信念を強く感じさせる最高の作品です!
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